ソーラー発電施設のメンテナンスにおける最大の問題は「雑草」です
ソーラー発電(特にメガソーラー)は、雑草の影で発電量が減ってしまったり、発熱・破損の危険性(ホットスポット現象)があります。また、モジュールのすきまに侵入したり、フェンスに絡みつくことで風による倒壊や故障の原因となります。雑草を放置することで、ねずみや害虫が発生したり、ゴミの不法投棄といった環境問題の原因ともなります。
しかし、雑草を根絶することはできません。アスファルトのわずかなすきまから生えている雑草を見かけたことがあると思います。雑草の種はいたる所から飛んでくるだけでなく、土中に大量に眠っています。そして、根や地下茎が残っていれば再生するのです。防除の基本は、「小さいうちにたたく!」です。年2〜3回の定期防除で雑草の被害を最小限に抑えましょう!
また、雑草対策には、砂利埋設や防草シート、草刈り、ヤギ除草などの変わったものまで、いろいろとあります。が、コストと効果やメリット、デメリットを考えると除草剤によるものが最適です。
なお、除草剤にもいろいろあります。ですから、弊社では除草剤の中でも、安全性の高い普通物相当の除草剤を提案いたします。そして、除草剤はメーカーが定めた使用方法や薬量を守ることで、その安全性が確保されます。ただ、水のように全く無害というわけではないので、粒剤にしても、液剤にしても、長時間太陽光パネルや架台に付着した場合は、変色したりする恐れがありますので、できるだけ早く取り除くようにしてください。(左図:除草剤散布後)
ソーラー発電における雑草による弊害
直接的な害
雑草が繁茂し、パネル表面を覆ってしまうことにより、影をつくり、発電量が減る。影の部分が電気抵抗となり、発熱・破損の危険性がある。(ホットスポット現象)
雑草の茎や葉(特につる性雑草)が、モジュールのすき間などに侵入し、破損する。フェンスなどに絡みつき台風などで倒壊の原因になる。
雑草の根や地下茎が土中ではびこり、モジュールの土台や埋設設備を破損する。
雑草が繁茂すると、施設内の管理作業の邪魔となる。
間接的な害
雑草が繁茂すると、施設内のネズミなどの動物の住処となり、設備を傷つける。
雑草の花や実を求めて、虫や鳥が寄ってきて、パネルを傷つける。汚す。
景観が著しく、損なわれる。
ソーラーパネルに影ができてはいけない理由
ハンダ不良といった製造不具合や落ち葉の付着などによって「ホットスポット現象」と 呼ばれる問題が起こることがあります。ホットスポット現象とは、落葉や鳥の糞などが太陽電池の表面に付着して完全な影となった場合、 その部分が発熱してしまいそれによってセル(パネルの一部分)が破損してしまうという現象です。影になると表記しましたが、短期間の影であればさほど問題が無いのですがそれが長期化すると ホットスポット現象によってセルが破損してしまうことがあります。
「雑草」といっても様々な種類があるため最適な防除方法が必要
セイタカアワダチソウ、ススキ、クズ、カナムグラ、スギナ、タンポポ、タケ、ハコベ、ササ類、カヤ類etc.
雑草の進入と増殖
種子による侵入と増殖
雑草の種子はすでに土の中に大量に存在しています。土は雑草種子の貯蔵庫 「Seed Bank」。
参考:埋土種子量(平方メートルあたり) | |||
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農耕地 | 34,000個〜75,000個 | 永年性草地 | 2,000個〜17,000個 |
一年生草地 | 9,000個〜54,000個 | 遷移初期の土地 | 1,200個〜13,000個 |
雑草の種子は、風や雨、動物(もちろん人間も)が運ぶためどこからでも侵入します。発生した雑草は大量の種子を生産します。
参考:種子生産量(1固体あたり) | |||
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エノコログサ | 11,000個 | メヒシバ | 32,780個 |
ハコベ | 18,800個 | ヒメムカシヨモギ | 133,400個 |
根・地下茎による侵入と増殖
見えなくとも、施設外や地中から侵入します。定着すると、地中では四方八方に増殖します。その結果、モジュールの土台等に影響し防除しにくくなります。
ソーラー発電における雑草対策(Web調査まとめ)
雑草対策 | コンクリート敷設 | セメント&砂利敷設 | 防草シート | 草刈り | 除草剤 | ヤギ除草 | |
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単価 | 10,000円/平方メートル | 1,000円/平方メートル(砂利運搬費により大きく変動) | 500円/平方メートル(シート代+敷設人件費) | 160円/平方メートル | 80円/平方メートル(除草剤費+散布人件費) | 30,000円/頭(1頭で500平方メートルを除草・レンタルは月15,000円/頭) | |
初期費用 | 1億5,000万円 | 1,500万円 | 750万円 | (草刈機) | - | 90万円(30頭)200万円(付帯設備) | 水場・小屋設置50万円 |
維持費及び更新費用(年間) | −(補修費?) | −(補修費?) | 150万円5年更新として | 年2回で480万円 | 年1回で120万円 | 日常の管理費冬場の餌代繁殖管理・処分費120万円(30頭) | ヤギ30頭年6ヶ月間のレンタル費270万円6ヶ月の管理費30万円 |
- | 部分的な除草剤散布で追加費用発生 | 刈り草処分が産廃になると更に費用発生 | - | ||||
完成度 | ◎ | ◎→△ | ◎→△ | ◎ | ◎〜○ | △ | |
欠点 | 蓄熱による発電効率の低下雨水の集中(排水路の整備) | シートを突破る雑草もある | パネル破損(飛び石)根が残る(再発大) | 近隣での薬害リスク | 病気(寄生虫・感染症)/毒草による中毒/事故/ケガ/熱中症/脱柵(逃亡)/糞(臭気)/鳴き声(騒音)/不食草の繁茂(嫌いな草種の食べ残し) | ||
宅地評価(課税UP)になる可能性 | - | ||||||
総合 | 設置時の潤沢な補助金が必要 | 追加除草剤の程度による | 速効的であるが費用大 | 費用対効果最大 | 草刈よりも安価な可能性あり/癒し効果(アニマルセラピー)/エコ・イメージ/ノウハウが必要(生き物を扱うリスク) |
除草剤による雑草の防除
農薬の登録制度
国内においては「農薬取締法」により、開発から製造、流通、販売、使用に至るまで、規制を受けている。農薬すべて「農薬登録」が必須であり、そのためには、人畜安全性、環境影響、作物影響、防除効果等の膨大な試験結果が必要。化学品の中では、最も安全性・環境影響が確認されている。新規の農薬(有効成分)の開発には最低、数十億円以上を要する。.
代表的な散布タイプ(剤型)
水に希釈して散布するタイプ | 固体:水和剤(粉状)、顆粒水和剤(粒状) |
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液体:液剤、乳剤(オイル系で水に乳化)、フロアブル剤(微粒子が水に分散) | |
そのまま散布するタイプ | 固体:粒剤 |
液体:AL剤(希釈済み) |
代表的な雑草に対する作用タイプ
- 光合成を阻害
- 植物特有のホルモン作用に影響
- 植物の生長(細胞の増殖・伸長)を阻害
- 植物特有の代謝を阻害
代表的な雑草に対する吸収タイプ
代表的な除草剤
商品名 | 剤型 | 劇毒 | 備考 | 単価 | 使用薬量(1000平方メートルあたり) | 1平方メートル単価 |
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ラウンドアップマックスロード | 液剤 | 普通物 | 一般的な非農耕地用の除草剤として田畑の周辺で使用 | 13,500円/5L | 1000ml/50倍希釈 | 2.7円 |
草枯らし | 液剤 | 8,672円/5L | 1.74円 | |||
バックアップ | 粒剤 | 公園・駐車場・道路に使用 | 1,250円/1kg | 30kg | 37.5円 |
基本
散布における注意点 | 近隣に民家や田畑、森林がある場合は、液剤散布はドリフトの危険がある。また、粒剤においても雨などによる流亡、樹木への影響があるため、境界からある程度の距離(2m以上)をおいて散布を行う。 |
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安全性 | 一般的に、普通物といわれているものはホームセンターなどにも置いてある安全性の高い農薬です。半年も散布より時間を置けば、残効はほとんど残っていないと考えられます。 |
ご提案
基本的な除草は「粒剤」による除草を推奨します
- 液剤散布は水が必須であることと敷地内へタンク車が入らないことから非効率
- 液剤散布はモジュールへの農薬散布液がかかるリスクも大きい
- 残効も長く年1〜2回の散布でよい(ただし初期状態で雑草が少ないこと)
- 価格は少し高いが人件費を考慮した場合総合すると安くなる可能性もある
面積が少ない場合や背が高くなった雑草には「液剤散布」の選択もあります
弊社は長年にわたり、ゴルフ場、公園、一般緑地などの管理資材を販売しております。地形や雑草の種類によって、除草剤もさまざまな選択ができます。お気軽にご相談ください。御社に最適な除草剤をご提案いたします。(TEL:029-285-0311)<受付時間:平日・土曜日 8時〜17時 ※日祝祭日を除く>